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地が低密度で分散しているので、これらを全てカバーするのは困難であり、したがって特定の福祉施設や利用者の多い施設、商店街、駅・ターミナル等と比較的人口が集中している地区を結ぶ路線、事業計画が設定される。
そして、これらコミュニティバスのタイプ毎に成立条件の整理を行った。別表(表2)は運行指標、利用構造、経営構造について整理したものである。

 

3. コミュニティバスのあり方

 

調査結果を踏まえ、コミュニティバスの定義、必要性、および要件を次のように整理した。

 

(1)定義および必要性
コミュニティバスは、既存のバスサービスだけではカバーしきれないニーズに対応する乗合バスである。そのサービス内容は必ずしもこれまでの乗合バスの考え方によらず、利用者の利便性を最大限考慮し、かつ多様化する需要へ対応する新たなバスシステムであり、同時に福祉サービス、環境に与える影響の軽減を視野に入れたシステムであると定義する。
また、交通体系の確立(需要に応じた適正な交通機関分担と交通不便地区の解消)、福祉サービスを含めたモビリティの確保(高齢者、障害者等のモビリティの支援と、日常生活の足としてのモビリティの確保)、環境負荷の軽減(環境対策=自家用自動車による排ガス、騒音、振動の軽減=と、駅前環境対策)の3つの観点などを中心として、多様化する社会的ニーズに対応する新たな交通サービスとして、コミュニティバスの必要性が急速に高まりつつある。

 

(2)コミュニティバスとしての要件

 

?@導入のねらい
地域住民の生活の根幹をなす輸送サービスを確保すると同時に、福祉サービスの充実、環境に与える影響の軽減を目的として導入されるバスサービスである。このため、必ずしも単なる移動手段として経営収支により判断されるものではなく、地域住民の生活、今後のまちづくりを見据えた上で実施されるサービスである。

 

?Aサービス内容
既存の交通体系、特に既存のバスだけでは十分な対応が不可能な地区や施設を連絡する乗合バスであり、基本的に固定路線を有する定時刻のバスサービスである。また、必ずしも従来のバスサービスの考え方にとらわれず、利用者の利便性を最大限に考慮したサービスとし、できるだけ高頻度の運行で、かつバス停間隔が短く、幹線道路以外でのルーティングを積極的に取り込んだバスサービスである。

 

?Bバス事業者と市町村の取り組み
バス事業者と市町村が一体となって取り組み、バス交通に関しての両者の共通認識を深めるとともに、両者の合意のもとで役割分担を図る。またバス事業者は、バス事業の活性化を図るための乗合バス事業の新たな展開であるという認識のもとに、できる限り企業努力に努める。一方市町村は、まちづくりや総合交通体系のプログラムを策定し、バス交通に関する十分な検討を行った上で必要路線を位置づける。導入にあたっては、その社会的ニーズを背景に市町村が積極的に係わり、場合によっては主体的に事業を推進する。

 

4. コミュニティバスを取り巻く問題点および課題

 

調査結果を踏まえ、コミュニティバスを取り巻く問題点および課題を次のように整理した。

 

(1)コミュニティバスが抱える問題点
採算性に乏しく、財源確保が難しい。しかも導入地域によりコミュニティバスのニーズが異なる。また概ね高齢者、障害者への対応が十分ではない。

 

(2)コミュニティバスを導入し維持するための課題

 

?@交通体系の確立に関する課題
新たな需要を吸収する路線及び乗降場所の設定と、地域の実情にあわせた柔軟な運賃設定が

 

 

 

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